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退職金規定4つの重要ポイント(前編)
前回まで述べたことを考えると、退職金規定と退職金積立
制度の関係は、退職金規定の中で定められた内容によって、
退職金積立制度が決定されるといういわば主従関係にあるの
です。
退職金規定・・・就業規則の一部、退職金制度の内容を規定
この規定の設定によって退職給付債務が発生
↓
退職積立制度(手段)・・・退職給付債務に対する準備手段
適格退職年金の移行の問題を考える時、まず、現状の退職
年金規定がどのような内容になっていて、このままでよいの
かどうかを検討することが最初にしなければならないことで
す。その点を踏まえて考えると「現在の退職金規定のままで
いくのか?それとも退職金制度を廃止するのか?この2つを
視野に入れながら、新しい退職金制度を考えていくことが
大切です。」
では、ここから、今まで重要だと述べて来た退職金規定に
ついて4つの視点からみていこうと思います。
□ 退職金制度の目的
以前にも申し上げたかもしれませんが、退職金には3つの
性格があります。
適格退職年金の退職年金規定第1条は、「従業員の退職後の
生活の安定をはかる目的で・・・・」といった、従業員の
定年退職後、「年金」を支給するのが建前の目的となってい
ます。つまり、この制度は退職金の3つの性格のうち退職後
の生活保障ということになります。しかし、経営者の方で、
退職金をこの位置づけで理解されてらっしゃる方はほとんど
いらっしゃらないようです。
では、なぜそのようなことが起こるのでしょうか?
適格退職年金を契約する際、退職年金規定を作成し、労働
基準監督署に届けることが要件となっていたからです。その
際の適格退職年金の退職年金規定は契約先金融機関が用意し
た雛形を基本に作成され、企業の考え方や実情等を考慮する
ようなことは行なわれておりませんでした。
では、なぜ、企業側の考え方等を反映した退職年金規定とな
らなかったかというと、実は、ちゃんと理由があるのです。
適格退職年金を契約する際には、「税制適格要件」を満たさ
なければ適格退職年金として認められなかったのです。その
要件を満たすように企業側で規定を作成するのは困難であっ
たと考えられます。
ですから、どの企業の適格退職年金の退職年金規定は似たよ
うなものになるのは、無理からぬことでしょう。
あなたの会社では、どのような目的をもって、退職金を支
払うことを従業員と約束されているのでしょうか。永年勤続
に対する貢献度に対して、退職後の生活保障のため、有能な
社員の定着化のために・・等々。
ですから、やはり、会社にとっての退職金の目的は、非常に
大切なのです。場合によっては、退職金自体の存在意義がな
い場合もあるかもしれません。
そうであれば、廃止も1つの手です。ただし、退職金を廃止
する場合は、退職金規定の不利益変更につながるために相当
慎重に取り扱う必要があります。
□ 給付の2パターン、確定給付か、確定拠出か
給付には、2パターンあります。それは、確定給付型か、
確定供出型かです。
では、それぞれどのように定義づけられるでしょうか。
確定給付型・・ある一定の基準によって、将来支払われる
「退職金」の額又は計算方法が確定しており、退職時又は
退職時以後でないと退職給付債務は清算されません。故に、
毎月退職金積立制度に対して掛金等を支払っていても、
それで退職給付債務が清算されるわけではありません。
つまり、積立金の運用が悪ければ、当然積立不足が発生し
掛金以外にも企業に負担が生じます。
確定拠出型・・ある一定の基準によって、毎月(又は毎年)
従業員に対しての「支払金」(前払金、拠出金、掛金等)の額
又はその計算方法等が確定しており、企業はその支払金を従業
員や引受機関に対して払っていきます。と同時に退職給付債務
はその都度清算されていきます。
退職金制度を「確定給付型」にするか「確定拠出型」にする
かは、退職金制度改革の中で重要な選択であり、この選択があ
たらしい退職金制度の方向性を決定づけるものといえます。
以前は、適格退職年金に代表される確定給付型の退職金制度
が主流でした。確かに従業員にとっては、将来の退職金金額が
確定しているのが安心でしょう。
しかし、そもそも将来において現行の退職金制度が維持出来る
のか、経営上どうなのかといった点で大きな問題をはらんでい
るのも事実です。退職金制度を導入した時期と現状ではあまり
に社会情勢が変化しており、その制度の維持のために企業の
存亡が危ぶまれるようにことになっては本末転倒の話になって
しまいます。従って、このいずれかを選択するかは、企業が
人事面と財務面をよく考慮し、将来安定的に制度維持及び運用
できる制度再構築の方向性を決定づける重要な検討事項となる
のです。