患者との関係に悩む病院が多い。過去1年で暴言やセクシャル・ハラスメント
を含む院内暴力はアンケート(日経新聞による全国主要病院調査)に回答した
病院の71.1%で起きていた。「暴力・暴言は年々エスカレートしとおり対応
に苦慮している」(東海地方の病院)といった声が多数寄せられた。
対策として、「悪質な事例は警察等に通報する」と答えたのは86.6%。
マニュアルの整備や、職員教育などを実施している病院も3−4割あり、「特に
きまった対応がない」としたのは4.6%だけだった。
ある病院では昨年、暴力がなどが発生した際の連絡網や体制図を整備する
一方、暴力に至らないトラブル事例を収集・分析して、マニュアルを随時見直
している。「情報を共有することで、適切な対応を取れるようになった」と
医院長(51)は話す。
また別の病院では病院側の事情を患者に理解してもらおうと、昨年秋の病院
祭で「患者の良い分・医者の良い分」と題した寸劇を上演。「夜間救急外来で
なぜ待たされるのか」など、患者が不満を持ちやすい五つのケースを取り上げ、
院長が脚本を書いた。出演者は職員。今年も上演を検討しているという。
全国社会保険協会連合会所管の病院は米ハーバート大関連病院の刊行物を元
にした「真実説明・謝罪マニュアル」を導入している。ある社会保険病院の場
合、昨年9月以降に2件の軽微な事故があったが、患者側は「黙っていれば分
らないことをよく話してくれた」と肯定的な反応だったという。「患者には知
る権利がある。きちんと説明することで、トラブルはむしろ減っていく」と院
長は話す。
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