パートなのにノルマがつらい、処遇変わらず解雇の不安
日本郵政グループで働く非正社員は約21万人と年々増え、正社員
(約24万人)に近づいている。民営化前の2007年に郵政産業労
働組合(郵産労)などが行なった全国調査によると、非正社員に営業
活動を指示していると組合員らの9割弱が回答。目標達成のため自ら
年賀状などを買い取る「自爆営業」も9割以上が行なっていた。「プ
レッシャーで精神疾患になる人もいる」(郵産労)
「パートタイム白書」(アイデムまとめ、08年版)によると
「パート・アルバイトに対する評価制度があり、賃金に反映させてい
る」という事業所は35%にのぼった。一方、「働きぶりの評価によっ
て賃金に差がついた方がよい」と考えるパート・アルバイト社員も6
割を超す。正社員同様の仕事を任される人が増える中、成果主義的な
制度を望む声も少なくない。
ならば、お互いにとって望む結果になりそうなものだが、実際は成果
を非正社員の賃金に反映しない企業も多い。パートに販売ノルマを課す
紳士服店の店長(40代)は「ノルマを達成しても賃金は横ばい。年間
5千万円を売るパートが時給800円くらいで働いている。以前、パー
トに『月10万円程度の給料で何十万円も売れません』と抗議されたと
きは返す言葉がなかった」と打ち明ける。
全国コミュニティ・ユニオンの会長は「待遇に比べて責任や職務内容
が重すぎる。待遇を据え置いたまま正社員と同じ販売ノルマを課すこと
は、問題ではないか」と訴える。
そもそも過大なノルマなど成果主義の行き過ぎは、長時間残業や過密
労働も招きやすい。08年4月には改正パートタイム労働法が施行され
、パートと正社員の「均衡処遇」が企業に求められている。企業にとっ
て、ノルマ設定は非正社員の戦力化の一環ともいえるが、昨今の景気悪
化もあり、肝心の待遇改善が「後回し」になる恐れもある。
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