1.懲戒事由及び懲戒の種類・内容は、就業規則に規定する必要があ
ります。
2.懲戒処分としての自宅待機以外は、休業手当の対象となります。
3.会社に損害を与えた場合、損害賠償を請求される可能性があります。
●懲戒処分
懲戒処分とは、使用者が会社内の秩序を乱した労働者に対して、一定の
不利益処分を課すことによって、会社秩序を維持することを目的とする
ものです。 懲戒処分を行うときは、次の要件が必要です。
イ 懲戒事由、懲戒の種類・内容が就業規則に規定されていること
ロ 懲戒規定の内容が合理的であること
ハ 懲戒処分にあたり平等性が保たれていること
ニ 懲戒処分が規律違反の種類・程度等に照らして相当であること
●懲戒事由は
イ 勤務不良 ・2週間以上正当な理由なく無断欠勤し、出勤の督促
に応じないとき
・勤務不良(遅刻、早退)で数回にわたり注意しても
改まらないとき
ロ 職務怠慢 不注意のため事故を起こし、職務に重大な支障を起こ
させたとき
ハ 業務命令違反 正当な理由なく、重大な命令及び重要な規則に従わな
いとき
ニ 不正行為 職務を利用して不正行為を行い、不当な利益を得た、
または第三者に得させたとき
ホ 経歴詐称 採用の重要な要素となる経歴を詐称したとき
ヘ 名誉毀損 会社の社会的信用や名誉を毀損する行為があったとき
ト 秘密漏洩 業務上の重要な秘密を漏洩し、または漏洩しようとしたとき
チ 有罪判決 盗み、横領、傷害等刑法犯に該当する行為があったとき
などの他に、二重就職や競業避止義務違反なども考えられます。
●懲戒処分の種類・内容は
イ 戒 告 将来を戒める旨の申渡しをすること
ロ 譴 責 始末書を提出させて将来を戒めること
(けんせき) ※昇給・昇進・昇格や賞与において不利な査定を受けることが多い
ハ 減 給 労働者が受け取ることができる賃金から一定額を差し引くこと
※1回の減給額は平均賃金の1日分の1/2以下。減給総額は一支払期の賃金の1/10以下
(労働基準法第91条)
ニ 出勤停止・停職 労働契約をそのままとして就労を禁止すること
※出勤停止期間中は、賃金を受けられない(減給規定は適用されない)
ホ 昇級停止 次期の昇級を停止、減額すること
ヘ 降 格 役職、資格を下げること
ト 諭旨解雇 退職願や辞表の提出を勧告し、即時退職を求めこと
チ 懲戒解雇 即時解雇すること
※労働基準監督署の認定があると解雇予告手当の支給がない
●自宅待機
自宅待機とは、労働者の出勤を禁止する措置であり、使用者が労働者の労務
提供の受領を拒否することをいいます。懲戒処分としての自宅待機ではなく、
会社運営上、業務上の必要から命じられた自宅待機期間中については、休業
手当の支払いが必要となります。
●損害賠償の請求
≫続きが気になる