パート・アルバイトや契約社員など非正規社員を正社員に転換する
取り組みが相次いでいる。制度導入を促したのは、パートの正社員
登用の仕組みづくりが義務化された改正パートタイム労働法が2008年
4月に施行されたこと。優秀な人材を確保したい企業側の思惑もあり、
働き方を見直すきっかけになっている。
総務省の労働力調査では、パートや派遣、契約社員など非正規の職員
・従業員は07年1,732万人と、この10年で約5割増え、雇用者全体に
占める割合も33%に上る。「パートは非正規の中でも最大勢力。今春の
パート法改正で正社員への転換推進措置を義務化した意味は非正規雇用
者全体にもとっても大きい」といえる。
戦力化に熱心な流通や小売り分野では、パートや契約といった非正規
社員の正社員登用に加え、待遇改善にも力を入れる。
ロフト(東京・渋谷)は08年春、希望すれば誰も雇用期間に定めのな
い社員になれる人事制度に改めた。旧非正規社員は週20ー40時間の範囲
で個々のライフスタイルに応じて就労時間を決める。
非正規社員でも店舗の現場責任者になれば、主任以上の基幹職務に就く
道が開けた。現場責任者と主任以上は月給で、それ以外は時間給という違
いはあるが、地域の高卒や大卒の初任給を基準に時給を換算するように切替
たので給与水準は上がった。「正規と非正規の区分が何なのかと考え、今
の制度にした」(取締執行役員)と説明する。
登用制度の導入は非正規のやる気を促すのに効果的だが、人件費等のコス
トは増大する。
モロゾフは07年10月、短時間勤務でも正社員になれるショートタイム
(ST)社員制度を新設した。パートから希望者を募り、169人が移行した。
フルタイム社員の年間1,920時間勤務に対し、STは960ー1,800時間の中
で勤務時間を決める。希望すれば1年後にフルタイム社員への転換も可能だ。
パートの賞与は社員の6割だったが、STは7割。退職金の算定基準もパート
は1時間9円で積算するが、STは同70円に上げた。STからフルタイムへの
移行がすすめば人件費はさらに膨らむ。それでも「短時間でも経験豊富な
人材は必要」(人事労務専任部長)と話す。
タグ:改正パートタイム労働法