2008年11月24日

就業規則作成・変更、労働時間制度、裁量労働制

裁量労働制
(労基法第38条の3、第38条の4、同法施行規則第24条の2の2)

□ 裁量労働制の対象業務の範囲は適正か?

□ 労使協定を締結し、労働基準監督署長に届け出ているか?

□ 労使協定の内容は必要な事項が定められているか?

[1]制度のポイント

 (1)裁量労働制とは、業務の性質上、その遂行手段や時間の配分などに関して
   使用者が具体的な指示をせず、実際の労働時間とは関わりなく、労使の合意
   で定めた労働時間数を働いたものとみなす制度。

 (2)専門業務型裁量労働制と企画業務型裁量労働制の2つがあります。

 (3)裁量労働の労働時間の算定に関する労使協定を締結し、所定の様式により、
   労働基準監督署長に届け出る必要があります。

[2]専門業務型裁量労働制の要件

 【対象業務】

  (1)新商品若しくは新技術の研究開発又は人文科学若しくは自然科学に関する
    研究の業務

  (2)情報処理システムの分析又は石器の業務

  (3)新聞若しくは出版の事業における記事の取材若しくは編集の業務、放送番
    組の製作のための取材若しくは編集の業務

  (4)衣服、室内装飾、工業製品、広告等の新たなデザインの考察の業務

  (5)放送番組、映画等製作事業におけるプロデューサー又はディレクターの業務

  (6)コピーライターの業務

  (7)システムコンサルタントの業務

  (8)インテリアコーディネーターの業務

  (9)ゲーム用ソフトウェアの創作の業務

  (10)証券アナリストの業務

  (11)金融工学等の知識を用いて行なう金融商品の開発の業務

  (12)大学での教授研究の業務

  (13)公認会計士の業務

  (14)弁護士の業務

  (15)建築士の業務

  (16)不動産鑑定士の業務

  (17)弁理士の業務

  (18)税理士の業務

  (19)中小企業診断士の業務

 【導入要件】

  導入する事業場ごとに次の事項を労使協定により定めた上で、労働基準監督署長に
 届け出ること。

 【労使協定で定める事項】 
  
  (1)制度の対象とする業務

  (2)対象となる業務遂行の手段や方法、時間配分等に関し労働者に具体的
    な指示をしないこと。

  (3)労働時間としてみなす時間

  (4)対象となる労働者の労働時間の状況に応じて実施する健康・福祉を確保
    するための措置の具体的内容

  (5)対象となる労働者からの苦情の処理のため実施する措置の具体的内容
  (6)協定の有効期間(※3年以内とすることが望ましい)

  (7)(4)及び(5)に関し労働者ごとに講じた措置の記録を協定の有効期間
    及びその期間満了後3年間保存すること

[3]企画業務型裁量労働制の要件

 【事業場】

  対象業務の存在する事業場

 【対象業務】

  事業の運営に関する事項についての企画、立案、調査及び分析の業務
  業務遂行の方法、時間配分などについて労働者に具体的な指示をしな
 い業務

【導入要件】

  労使委員会を設置すること
  労使委員会の委員の5分の4以上の対数による決議
  実際に制度を適用するには対象となる労働者の個別同意必要

【労使委員会での必要的決議事項】

  (1)対象業務の範囲

  (2)対象労働者の範囲

  (3)みなし労働時間

  (4)対象労働者の勤務状況に応じた健康・福祉確保のための措置

  (5)対象労働者からの苦情処理に関する措置

  (6)労働者からの同意の取得及び不同意者の不利益取り扱いの禁止

  (7)決議の有効期間(3年以内とするのが望ましい)

  (8)実施状況に係る労働者ごとの記録を保存すること
   
  決議を労働基準監督署長に届け出ること
 
 【労使委員会の要件】

  (1)委員の半数については、過半数労働組合又は労働者の過半数を代表する者に
    任期を定めて氏名されていること。

  (2)委員会議録の作成、保存、労働者への周知が計られていること。

 【実施状況報告】

  使用者は、定期的に、労働時間の状況に応じた労働者の健康及び福祉を確保する
 ための措置の実施状況その他命令で定める事項を、労働基準監督署長に報告すること。

○ポイント解説

 (1)数人でプロジェクトチームを組んで開発業務を行なっている場合、そのチーフ
   の管理下で業務遂行、時間配分を行なっているときは裁量労働に該当しません。

 (2)裁量労働のみなし労働時間に関する規定が適用される場合でも、休憩、深夜業
   、休日に関する法規定の適用は排除されません。
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posted by マイケル・J・ウリ坊(ウチヌノ) at 09:35 | 宮崎 ☔ | Comment(0) | TrackBack(0) | 労働法