が必要な家族がいたら切実だ。そうした社員に新たな選択肢を、と大
企業中心に再雇用制度が広がってきた。利用者は女性が多いが、男性
の利用も想定している。労働力不足が懸念される中、せっかく育てた
社員を簡単に手放すのはもったいない
決意の背景
「会社に戻れるかもしれないなら、子供のために今は辞めよう」。
2003年夏。帝人グループの医薬品会社「帝人ファーマ」でぜんそく
薬の企画販売戦略を任されていたAさん(当時33歳)は会社を辞めて
夫の転勤先の英国へ1歳9ヶ月の娘を連れて旅立った。
退職を決意したのは、帝人の再雇用制度「ハローアゲイン」があった
から。結婚、出産、育児、介護、配偶者の転勤などで辞めた社員を3年
以内(現在は10年以内)なら正社員として再雇用する制度だ。1度は
日本に残り働き続ける道を模索したが「父親と子供を長く離すのは良く
ない」と思い直した。
薬学部を卒業。薬の企画販売は「ずっとやりたかった仕事」で思い入
れがある。復職をにらんでAさんは英国滞在中に経営学修士(MBA)
を取得。離職した間の昇級は止まったが06年10月に復帰。現在は海
外出張もこないし、会社側は「制度は予想以上の成果を上げている」と
喜ぶ。
1年に12人
再雇用制度導入は増えてきた。三井物産は配偶者の転勤で退職した社
員を、5年以内なら再雇用する制度を07年4月に創設。「育てた人材
を家族の転勤で失うのはもったいない。視野を広げて社員が戻ってくれ
ば、会社にとってメリットは大きい」とダイバーシティ推進室室長は話
す。社員の評判は上々で、この1年で12人の女性が希望登録した。
男性も利用できる。
再雇用制度は東京海上日動火災やKDDI、大和証券グループ、サン
トリーなども導入。丸紅や住友商事は配偶者の海外転勤で最長3年休職
できる。
厚生労働省は
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