2008年08月20日

税制適格年金、他制度移行いまだ6割

税制適格年金の企業年金への移行状況
厚生年金基金
 70(6/1)
給付額が決まっている
確定給付企業年金
4475(6/1)
厚生年金より加入者数など
設立要件が緩い
確定拠出年金
4707(3/31)
従業員は運用リスクを負う
中小企業退職金共済
14325(4/30)
掛金の一部を国が助成

(注)カッコ内は調査時点、解約は除く

 厚生年金金と並ぶ代表的な企業年金として普及した税制適格年金が
2012年3月末に廃止になる。他の企業年金への移行や解約が済ん
でない適格年金は08年3月末で3万2,826とピーク時の4割
残っており、制度移行が円滑に進んでない。生命保険各社や信託銀行
は確定拠出年金などへの乗り換え提案を急ぐが、コストや人員負担の
面から中小企業は及び腰になっている。

 税制適格年金が廃止になることは知っているが対応はこれから」。
というところも多い。商工会議所年金教育センターの07年度調査
では適格年金の廃止を「知っている」との回答は97.5%。知って
はいるが、他の年金制度への移行に二の足を踏んでいるのが実態だ。

 税制適格年金は積み立てにかかる拠出金の全額を税務上、損金算入
できるため、中小企業を中心に普及してきた。だが年金財政をチェック
する仕組みが不十分で、多くの企業で積み立て不足が深刻化。従業員
の受給権保護のため、12年3月末に廃止されることになった。

 実は、適格年金は年金という名称は付いているが、退職一時金とい
う性格が強い。そのため、従業員が百人未満の企業は国の退職金制度
である中小企業退職金共済(中退共)に移行する事例が目立つ。ただし
大企業は加入資格がなく、すでに中退共も利用している企業は適格年金
の資産を中退共に移すことができない。

 適格年金の受け皿としては確定給付企業年金や確定拠出年金などがある。
ただ確定給付企業年金に移行するには財政チェックの強化、確定拠出年金
への移行には積み立て不足の解消が不可欠。中小企業にはこうした詳細
設計をできる専任担当者がおらず、時間だけが過ぎていく。適格年金を
節税できる商品として導入した経営者が多いことも移行遅れの背景にある。

 「そろそろ間に合いませんよ」。
 日本生命保険の専務執行役員は企業訪問を続けている。腕に抱えた封筒の
中には適格年金からの早期の移行を訴える社長名の文書。こうしたキャラ
バンを全国に広げている。

 日本生命は払った保険料の一部が損金扱いになる法人保険への移行などで
ピーク時に1万6千弱あった契約を6千まで削減。比較的規模の大きい企業
が多い中央三井アセット信託銀行も6月末で836と01年度に比べ半分に
減らした。ただ確定給付や確定拠出の年金制度設計には最低でも2年かかる
ため、適格年金の廃止期限が迫れば対応能力に限界が出てくる。

 りそな信託銀行が用意したのは「加入者数」「平均勤続年数」など十数項
目を記入すれば規約作成から申請まで面倒を見るパッケージプラン。「選択
肢が多すぎるから戸惑っている企業が多いとみて、給付設計を定額にする
など汎用化した商品を提供している。

 企業にとっては適格年金の受け皿を用意せず廃止してしまう選択肢もある。
ただ退職金制度を続けるなら、資金手当の手段を考えなければならない。
厚生労働省は適格退職年金廃止の期限の延長は考えておらず、移行を検討中
の企業も悠長に構えている時間はない。

【引用:日経新聞】
 
posted by マイケル・J・ウリ坊(ウチヌノ) at 14:17 | 宮崎 ☁ | Comment(0) | TrackBack(0) | 適年移行(退職金制度改革)
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