(1)制度の概要
中小企業退職金共済制度は、中小企業向けに設けられた社外積立
の退職金制度であり、昭和34年に制定された中小企業退職金共済法
に基づき、独立行政法人勤労者退職金共済機構が運営を行っている。
中小企業が単独で退職金制度を持つことは困難であるため、中小企
業者の相互扶助と国の援助で退職金制度を設立し、これによって中
小企業の従業員の福祉の増進と雇用の安定を図り、ひいては中小企
業の振興と発展に寄与することを目的としている。
加入できる企業 (共済契約者) | ○ 小売業:常用従業員 50人以下または資本金等 5千万円以下 ○ サービス業:常用従業員100人以下または資本金等5千万円以下 ○ 卸売業:常用従業員100人以下または資本金等1億円以下 ○ その他業種:常用従業員300人以下または資本金等3億円以下 |
掛 金 | 全額額事業主負担。掛金月額は被共済者ごとに以 下の19種から選択。 ○ 2,000円〜10,000円まで1,000円刻み (4,000円以下は短期労働者のみ) ○ 10,000円〜30,000円まで2,000円刻み |
給 付 | 掛金月額と納付月数に応じて、制度全体とし て予定運用利回りを1.0%として設計された 金額が支払われる。また、運用利回りが予定 運用利回りを上回った場合、付加退職金が上 積み支給されることがある。 60歳以上の退職者は退職金額によって分割 払い(5年、10年)も選択可能 |
(2)移行の留意事項
● 適格退職年金から移行する場合は、新規加入に係る助成はない
新規に加入した企業については、適格退職年金から移行する
場合を除き掛金の2分の1(上限5,000円)を加入後4ヶ月
から1年間助成を受けられる。
● 原則として、従業員全員を加入させる必要がある
「包括加入の原則」があるが、期間を定めて雇用される者や
試みの雇用期間中の者、短時間労働者等は加入させなくてもよい。
● 掛金納付月数が11ヶ月以下の場合は退職金、解約返戻金が
支給されない
同様に23ヶ月以下の場合には、退職金支給額は納付元本を
下回る。また、引継後の退職金の額は、中退共制度における納付
月数が少ない場合、引渡金額と中退共制度加入後の掛金総額の合
計額より下回ることもある。
● 中小企業でなくなると契約を解除しなければならない
● 適格退職年金制度から中小企業退職金共済制度への移行申出の
日において、現に中小企業退職金共済契約を締結している場合は、
移行することができない。
● 適格退職年金制度における従業員持分額の全額を引渡金額とす
ることができる。この引渡金額に応じた月数を納付月数として通算
することとなる
確定給付企業年金法附則の改正により、平成17年4月から
120ヶ月の上限が撤廃され、全額移換が可能となりました。
(3)適格退職年金制度から中小企業退職金共済制度への引継申出件数
平成14年度 事業所数: 1,215所 従業員数: 28,484人
平成15年度 事業所数: 2,198所 従業員数: 62,023人
平成16年度 事業所数: 1,602所 従業員数: 44,389人
平成17年度 事業所数: 3,986所 従業員数:124,999人
平成18年度 事業所数: 2,779所 従業員数: 78,686人
平成19年度(11月まで)事業所数:1,599所 従業員数:43,992人
累 計 (平成14年4月〜平成19年11月)
事業所数:13,379所 従業員数:382,573人
● 都道府県別引継申出状況(平成14年4月〜平成19年11月末現在)●
出典:(独)勤労者退職金共済機構ホームページ
(4)中小企業退職金共済制度と他制度との比較
出典:「適格退職年金制度からの移行ご案内」パンフレット
(独)勤労者退職金共済機構
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