2008年10月09日

医療事故防止 動き広がる

全国病院調査

 医師不足が病院の診療体制の縮小を招いている実態が日本経済新聞社
の「全国主要病院調査」で浮き彫りになった。産婦人科や小児科がクロ
ーズアップされることが多いが、同じような問題は内科や麻酔科など、
幅広い診療科でも起きていた。勤務医の過密労働の解消は進まず、女性
医師の就労支援策にも課題は多い。国は医師の数を増やす方針を打ち出
しているが、現場の疲労感はかつてないほどに高まっている。


「告発可能性」9割超す

 医療の質を高め、事故を防ぐ取り組みは2003年の前回調査
に比べて向上している。医療安全管理組織に選任者をあてる病院
は前回の24.7%から69.3%にアップ。しかしミスを犯し
た医師を再教育する取り組みは今も進んでいない。

 医療事故を巡る状況は03年から08年までの5年間で様変わ
りした。東京のある病院で腹腔(ふくこう)鏡手術を受けた患者
が死亡した事故などを受け、当時の坂口力厚生労働相は03年
12月、医療事故対策の緊急アピールを発表。国を挙げて対策に
乗り出す契機となり、病院側もそれに合わせて体制を整えてきた。

 事故などを院長らトップに直接報告したり、内部告発が可能な
体制を取ったりする病院は前回の39.5%から91.0%に上
がった。「患者の治療方針を複数の医師、薬剤師らで共有してチ
ェックしている」との回答も今回は9割を超えた。

 しかし取り組みには依然、ばらつきがある。「客観的評価のた
めに外部の人材や外部組織を活用している」との回答は18.7
ポイント上がったとはいえ、29.6%どまり。医療品などの誤
投与を防ぐためにバーコード管理を導入している病院は21.0
%から48.5%に増えたものの、半数に満たなかった。

 患者取り違えを防ぐ最も基本的な方法である「本人確認の徹底」
は12.6%が未実施。とりわけ200床台の病院で進んでおら
ず、人手不足が影響しているとみられる。

 未熟な医師をレベルアップさせる取り組みは現在も低調といえ
る。ミスを犯した当事者への再教育プログラムを用意しているの
は4.9%だけ。再教育の仕組みが全くない病院は4割近くあっ
た。

 医療費の抑制基調が続く中、財政的に病院が安全管理を進める
インセンティブは乏しい。埼玉県の私立病院には国に対し、「
医療機能に対するコストの算定を低く考えすぎている。安全・質
の向上は我慢大会ではなく、正当な対価が支払われるべきである」
と注文をつける。

 厚生労働省は次期通常国会に医療版事故調査委員会の
設置法案提出を目指す。


 中立的な機関に判断を委ねることで、医師・病院側と被害者側
の双方の負担を軽減するとともに、効果的な再発防止策を導き出
すことが狙いだ。

 ただ、法案提出に先立って厚労省が作成した大綱案は、事故調
が警察に届ける際の基準を、「通常の医療行為を著しく逸脱した
場合」と規定するなど、不明瞭な部分も残る。事故調が信頼性を
担保するためには、過失の軽重を的確に判断する必要がある。



【引用:日経新聞】
タグ:医療事故
posted by マイケル・J・ウリ坊(ウチヌノ) at 08:07 | 宮崎 ☁ | Comment(0) | TrackBack(0) | コラム
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