パートや派遣、契約社員などの非正社員は、2007年には約1,700万人
と雇用者の34%まで増えている。彼らの多くは半年、1年など期間を区切った
有期雇用で働いており、景気の影響を受けやすい。米国発の金融不安は実体経済
への影響も懸念される。「雇用の調整弁」ともいわれる非正社員はどんな思いで
推移を見守っているのか。
次の契約更新時に契約が更新されるか「とても不安」「やや不安」と答えたの
は計26%で、「どちらともいえない」(34%)や「やや安心」「とても安心
」(計40%)より少ない。だが、1年前に比べて「不安が増している」と答え
た人は5人に1人に達し、景気後退が非正社員の先行きに不安を投げかけている
のは間違いない。
トヨタ自動車が9月末までの半年で期間従業員を約2割削減するなど、雇用調
整も始まっている。1年前に比べて自身や周囲に契約を打ち切られるなどで失職
する非正社員が増えているかとの問いに「増えている」と答えたのは19%、「
減っている」(3%)を大きく上回った。
ならば正社員になりたいかといえば、そう単純ではない。「なりたい」と答え
たのは26%、「なりたくない」(43%)の方が多い。
正社員になりたい理由は不安定な雇用と低賃金からの脱出が大きい。自由回答
欄には「安定が欲しい」「この金額では生活できない」「ボーナスが欲しい」な
どの声が20ー30代の若い層に目立つ。
なりたくない理由は「パートの方が気楽」「家事との両立が難しい」「高齢だ
から」「正社員はしんどいし面倒くさい」「拘束されたくない」などだ。世代を
問わず、こう答える人がいるが、特に子育て中の主婦や男女のシニア層に多い。
3人に1人を占める”どちらともいえない派”は、収入と安定は欲しいが、自由
な時間がなくなるのは嫌と両者の間を揺れ動いている。契約打ち切りへの不安は
あっても、家庭の事情や自分のライフスタイルを考えれば簡単には働き方を変え
られないようだ。
【引用:日経新聞】