非正社員なのにノルマがきつい・・。販売目標などの名で、実質的な
ノルマをパートタイマーらに求める企業が目立ってきた。成果や能力を
評価し、人材の戦力化を図る狙いだ。ただ、仕事の重みが増しても賃金
など処遇は抑えられたまま。ノルマが達成出来なければ解雇されると不
安を感じる働き手も多いようだ。
「奥さん来週はどうします。サンマのかば焼きがおすすめですよ」。
笑顔で話しかけるのは生活協同組合でパートとして働くAさん(36)。
毎週、約150件の利用者宅をトラックで回り注文品を配送する。心
には常に営業ノルマが重くのしかかっている。
例えば注文書の「提出率」。商品カタログを配った利用者のうち実際
に注文した人の割合だ。「注文してもらうため『留守で受け取れない』
と断られても、郵便受けに入る缶詰や調味料をすすめる」。職場に戻る
と不在客に電話営業。休日に公園などで主婦らを勧誘することもある。
営業目標と実績は正職員、パート職員の区別なく、個人名とともに一
覧表で公表される。ただし、パート職員の時給はノルマを達成しても
変わらない。Aさんは週4日の1日4時間勤務。月給の手取りは10
万円ほどで、社会保険なども未加入だ。「目標を達成しないと別室に
呼び出されことも。首にならないため、毎日が必死」。
近年、生協はスーパーなどとの競争が激化。「全職員の7割近くを
占める非正社員に、成果主義的な評価制度を導入する生協も出てきて
いる」(全国生協労働組合連合会)。同様の動きは古くは保険業の営
業職でも見られたが、最近は「非正規社員の戦力化」を進めるスーパ
ーなど小売り・流通業にも広がっている。
【引用:日本経済新聞】