育児・介護休業法では、生まれた子供が1歳に達するまでの間に
育児休業を取得できることを定めている。2005年施行の法改正
で、保育所に入所できない場合などは子供が1歳半に達するまでの
間に取得できるようになった。
だが男性の取得はなかなか進まない。厚労省の調査によると、昨
年度の取得率は女性の89.7%に対し、男性は1.56%。同法
では会社は休業期間を有給とする義務はなく、現在は雇用保険から
給付が休業開始前賃金の5割相当額にとどまることも一因だ。ただ
「育休を取得したい」という男性は3割に上がるなど、期間中1回
しか利用できない育休を利用したいという声は少なくない。
こうした男性が育休を申請した際、会社側が残っている有給休暇
の消化の取得を優先させることは可能だろうか?
「育休も有給休暇も対象者(労働者)が請求することで会社が
与える義務が生じる。どちらを利用するかは労働者側の選択権が
ある」
労基法で定められている、出産予定日6週間前から取得できる
女性の産前休業も育児休業と同様に選択できる。産前休業は通常、
出産手当金として賃金の6割相当が健康保険から支給されるが、
女性が「有給休暇を消化したい」と申請すれば、会社側は特別な
理由がない限り、認める義務がある。
「会社側が有給休暇よりも産前休暇を優先させるという規定を設
けることは労基法違反となる」
ただ、こうした選択は休暇に入る前に確定しなければならない。
育児休業などを取得中に「やはり有給休暇にしたい」と主張して
も、「すでに休業期間中は労働義務を免除されている状態になっ
ているため、有給休暇を選択する余地はなくなる」。
有給休暇は労基法では2年まで繰越が可能なうえ、未消化分を
長期病欠時に充当する会社もある。
どちらを選ぶか十分検討する必要がありそうだ。