ご存知の通り
2012年3月末に廃止に
しかしながら、他制度の移行や解約が済んでない適格年金
は08年3月末で3万2,826とピーク時の4割が残っ
ている。
生命保険会社や信託銀行は確定拠出年金などへの乗り換え
提案を急ぐが、コストや人員負担の面から中小企業は及び
腰だ。
商工会議所年金教育センターの07年調査で適格年金廃止
を「知っているか」との回答は97.5%。
知っていはいるが、他の年金制度への移行に二の足を踏ん
でいるのが実態だ。
実は適格年金は年金という名称は付いているが、退職一時金
という性格が強い。そのため、従業員が100人未満の企業
は国の退職金制度である中小企業退職金共済(中退共)に
移行する事例が多い。ただ大企業は加入資格がなく、すでに
中退共を利用している企業は適格年金の資産を移すことがで
きない。
適格年期の受け皿として確定給付企業年金や確定拠出年金な
どがある。ただ確定給付企業年金に移行するには財政チェッ
クの強化、確定拠出年金への移行には積立不足の解消が不可欠。
中小企業にはこうした詳細設計をできる専任担当者がおらず、
時間だけが過ぎさっていく。そもそも適格年金を退職金として
の位置づけというよりは節税可能な金融商品として導入した
経営者が多いことも移行が遅れる背景にある。
ただ、残されて時間はあまりないのも事実。
誰も解決はしてくれない。企業自身がこの問題を正面から取り
組む必要がある。
例えば確定給付や確定拠出年金の年金制度設計には最低で
も2年かかるため、適格年金の廃止期限が迫れば金融機関
の対応能力にも限界が出てくるのは間違いない。
最近は、「加入者数」「平均勤続年数」など10数項目を
記入すれば規約作成から申請まで面倒を見るパッケージプ
ラン。選択肢が多いのも企業の決断を鈍らせる一因かもし
れないとみて、給付設計を定額にするなど汎用化した商品
が出ている。
企業にとっては適格年金の受け皿を用意せず廃止してしま
う選択肢もある。ただ退職金制度を続けるなら、資金手当
の手段を考えなければならない。厚生労働省は適格年金廃
止の延長は考えておらず、移行を検討中の企業も残された
時間はあまりなく、そう悠長に構えている時間はないとい
うことだ。